読書と子育て

わたしは、本を読むのに時間がかかる。唯一自由に使える通勤時間を読書に当てると、1冊読み終えるのに、一ヶ月近くかかることもある。ページをめくることを急がずに、コーヒーをゆっくりと抽出するみたいに、著者が書いた文字を反芻しながら、頭の中にゆっくりと閉じ込めていく。SNSに疲れたとき、本を読むのはとてもいいリフレッシュになる。顔の見えない数千人、数万人を相手にするのではなく、たったひとりの著者と向き合うからだ。

ちょうどWeezerの「Numbers」という曲がラジオアプリから流れてきた。気になるメロディだったため、なにげなく歌詞を調べてみると、偶然にもSNS時代にいいねの数で他者と比較してしまう葛藤を歌った曲だった。Weezerは30年間も第一線で活躍する奇跡のバンドらしい。精力的な創作とライブ活動は衰えるどころか加速し続けている。きっと、他と比べずに自分たちらしく音楽をやってきて、実際に会場でファンと向き合うことを何より大切にしてきたからではないだろうか。

ふと、子育てと通じるものがあるなと気が付いた。

本を読んで学んだことについて、いいね、を押してくれる人はいないけど、心に残った文章は長く残っていく。子どもと向き合っていく時間も同じで、だれもほめてはくれないけれど、一緒に過ごした時間は確かに積み重なっていく。大変な出来事も、時間が経てば、あの頃あんなことがあったなと微笑ましく思い出せるようになる。

今日もあわただしく一日が過ぎていく。
今夜は寝る前に、5分でも。子どもの寝顔を見ながら、新しい本を開いてみよう。