子どもといる時間を大切に

出産・育児というライフステージの変化で悩んだ「子育てと仕事の両立」、ここで子育てしておばあちゃんになるまでここにいるだろうと言う「地元への想い」など、ベビーマッサージ&photo studio mahanaの宮崎さんに伺いました。

子育て中に感じた周りのキャリアとのギャップ

自宅でベビーマッサージや、赤ちゃんやママの写真を撮影している宮崎絵理さん。「にかほ市」で生まれ育ち、高校卒業後に県外の医療事務専門学校へ。その後県内に戻り、秋田市、にかほ市の2つの病院で勤務し、結婚出産で退職。第一子が1歳のときに市の臨時職員となり、2人目出産後の今は赤ちゃんとママ向けの事業で独立しています。6歳と1歳の2人の母親です。

県外の専門学校卒業後、就職先に迷っていたちょうどその時に、父親の思いや願いに触れ、宮崎さんは秋田県に戻ってきました。第一子が1歳の頃についた仕事は市役所の臨時職員でした。そのときに、職場を変えて来た自分と、同じ職場でキャリアアップしていく同じ歳の友達を比べて、すごいギャップを感じたそうです。さらに子どもの就寝後に家事をしていたある日のこと。育児と家事と仕事の両立で余裕がなくなり、子どもに笑えていない自分に嫌気がさしました。

そこで母である自分をいかして何か仕事ができないかとさまざまな資格や仕事を検索して、たどり着いたのがベビーマッサージの資格でした。秋田市で教室をやっている先生を見つけ、すぐに連絡を取り、仕事と両立しながら勉強をはじめました。「さらに大変にはなりますが、そのときはやってみようという気持ちが強かったです」と宮崎さん。結果、臨時職員の任期が終わる頃に資格を取得しました。直後に2人目の出産もあり、昨年の12月頃からベビーマッサージの講師として独立しました。

ママたちのちょっとした心のよりどころになりたい

ベビーマッサージの資格取得後、宮崎さんはベビグラファーにもなりました。母だからこそのコミュニケーションをいかして撮影するというベビグラファー。日々の育児に追われて、写真を撮る余裕がないことや、母親ばかりが撮影係になり、子どもだけや父親と子どもの写真はあるが、母親は写っていないということもよくある話。

そこで、日常にあふれるかわいい姿や、母子が触れ合っているちょっとした瞬間を撮影したいと宮崎さんは思いました。「将来写真を見返したときに、そのときのことを思い出させるような1枚を撮ってあげられるようになりたいです。ベビーマッサージの次にベビグラファーの資格を取ったのは、地元のママたちが、こういうのがあったらいいなというものを実現したい!また気軽に来られる場所であり、そういうよりどころとなる存在でいたい!!!」という宮崎さんの想いから。

子どものそばにいられる時間は長い人生の中でほんのわずかだと気づいたときに、急にさみしさがこみ上げて来て、“今”という瞬間を大切にしたいと思うようなりました。そこで、赤ちゃんとの触れ合いやコミュニケーションの大切さを伝えながら、子育てまっただ中のママの力になれたらと宮崎さんは願っています。最近では、里帰りで「にかほ市」に戻って来ていたママから、宮崎さんのところで過ごした時間やお子さんとの写真が「宝物になりました」との感想をいただいたそうです。

田舎の良さを子どもやまたその次の世代につないでいけたら

まだまだご自身も子育てまっただ中の宮崎さんは、小学校の帰り道に稲刈り後のふわふわした田んぼで走ったり、冬に巾山スキー場でスキーを習ったり、夏は近くの海で遊んだりしたそうです。同じように自然に触れて、四季をしっかり感じる遊びを子どもたちにも体験してほしいと思っているそうです。実際に子どもたちの遊び場も、遠くの遊具がある公園ではなく、近くにある落ち葉がたくさんの神社などが多く、地元の自然を満喫しているそうです。

そして登下校ですれ違うおじいさん、おばあさんに挨拶するのが当たり前だった光景をずっと残したいと言います。そういう地域のつながりがあることで、街全体が数少ない子どもたちを見守り、子どもが安心して登下校できる。そして子どもたちが子育てするようになったときに、この田舎の良さを肌で感じられて、それがまた次世代に変わらずつながっていけば、ここは素敵な街になると思います。と宮崎さん。

宮崎さんが子どものころは両親が共働きだったこともあり、一緒に暮らしていた祖父母の存在がありがたく、毎日帰宅すると家に電気がついていて、部屋も暖かく、おばあちゃんが夕飯をつくって待っていてくれたそう。両親の帰宅を待つ間もおじいちゃんとテレビを見たり、おやつを食べていました。夏休みも、今のように学童に行くシステムではなかったので、家でのんびり休みを満喫し、たまにおじいちゃんが自転車の後ろに宮崎さんを乗せて、遠くのプールまで連れて行ってくれたことが思い出です。この経験から自分も、子どもに「おかえり」を言ってあげたい。家に帰って来てほっとできる環境をつくりたいと宮崎さんは思っています。

にかほ市では、毎年秋に小学校全校で行う、河原にてみんなで調理をする、「なべっこ遠足」という行事があります。分担して鍋などの道具を持って来て、自分たちで火をおこし、みんなで協力して豚汁やカレーなどをつくります。「みんなでつくって外で食べるのがおいしい」と宮崎さん。今も小学校でやっているかはわからないけど、この行事が続いていたら嬉しいと話してくれました。実家が近いこともあり、ご両親が子どもを見に来てくれるし、仕事中に子どもの体調不良の電話があったら、お迎えなどをお願いできるのがすごく助かっています。また、実家に遊びに行くと、父親がはじめた畑で、水やりを一緒にしたり、夏にはひまわりを見に行ったり、という自分たちではできないことなど、親とは違う祖父母の目線で教えてくれるので、とてもありがたい存在です。