いちじくは故郷の味
故郷の味と聞かれて思い出す、イチジクの味
「思い出の味はなに?」と聞かれたとき、何を思い出しますか?夕飯に食べていた手料理、それは間違いなく鉄板。給食に出てきた大好物、ちょっと贅沢をした外食も忘れられないかもしれない。
最近、テレビを見ていたら、とある著名人の方が思い出の食べ物として道ばたの渋柿の木を挙げていました。これを見たとき、下校時にちゅうちゅうと吸っていたツツジの花の蜜の味を思い出しました。なるべくキレイなツツジの花を選び、鼻の後ろに口を付けて吸うと、花びらの少し生の葉っぽい匂いとともに蜜の味が少しだけするのです。
質素な甘さでしたが、自然の恵みのおやつはどこかワクワクさせてくれました。にかほ市には「ホワイトゼノア」という品種のイチジクが採れ、それは「北限のイチジク」とも呼ばれています。道を歩けば、至る所にイチジクの木。これらの多くは特産品の「イチジクの甘露煮」などを作るために栽培されているものですが、野良のようなイチジクもあります。
だから、きっと生のイチジクを頬張った記憶はたくさんの子どもたちが持っているはずです。中には内緒で食べた子もいるかもしれません。でも、それはきっと値段の付けられない最高の記憶になるはずだから、よしとしてあげたいものですよね。にかほの子どもたちの多くは、大人になって「思い出の味はイチジク」と答えるはず。名産品というものは、その土地で暮らす人の大切な記憶を作ることなのかもしれません。そして、僕はそのままが好きとか、私はヨーグルトに入れるのが好きとか、虫入りを食べてしまったとか、同窓会で大いに盛り上がるのでしょうね。